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Posted by ミリタリーブログ at

2016年07月18日

護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT) 2016

護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT)
先日、一般公開された護衛艦「せとぎり」ネタ第2弾でございます。

艦上では各種兵装など様々な装備資機材が公開されていましたが、後部のヘリ甲板で特殊な方々のブースを発見。

各護衛艦ごとに編成されている護衛艦付き立入検査隊(MIT:Maritime Interception Team)の方々です。

主砲やミサイルよりも個人装備に目がいってしまうのは、特殊部隊好きの悲しいサガ。

個人装備品の展示に加え、防弾チョッキの試着体験などもでき、細かな質問にも快く丁寧に答えて頂きました。

公開されていた立入検査隊の装備について、紹介したいと思います。



護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT)


護衛艦付き立入検査隊とは、簡単にいうと各国海軍で行われている臨検部隊の海上自衛隊版で、部内では「立検隊」などと呼ばれています。

我が国では平成12年に制定された「周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律(船舶検査活動法)」に基づき、海上自衛隊による一般船舶に対しての臨検行為をはじめとした海上阻止行動(MIO)が可能となりました。

各護衛艦ごとに編成された立検隊は、普段は各職種に従事している乗員から選抜されています。

主に複合艇でのボーディングによって当該船舶に乗船し、積荷の検査や目的地の確認などを実施することから、選抜された隊員は海上阻止行動に関する専門教育を受けています。

海賊やテロリストの資金源ともなる麻薬密輸などの容疑船に対しても実施される立入検査活動は、当該船舶の乗員が武装している場合もあることから、立検隊は防弾チョッキや防弾ヘルメットなどの防弾装具を着用し、自衛用に89式小銃や9mm機関拳銃、9mm拳銃などで武装しています。

臨検という海上警察活動を行う性格上、立検隊の個人装備には被疑者拘束時に使用する手錠や警察比例の原則に従った特殊警棒などが含まれ、その姿は一見すると海上における警備警察業務を担う海上保安庁の特別警備隊に酷似しています。

なお、被服や防弾装具などの官給品を除き、ホルスターやベルトなどの各種デューティーギアは、私費で購入している方が多く、隊員によって細かな装備が異なるのはこのためです。

隊員さんによると「ベルトやホルスターなども支給品はあるが、正直使い勝手が悪いので、どうしても私費で納得のいく製品を購入することになる」とのことで、この点は陸上自衛隊の市街地戦闘装備の事情に近いものがあるようです。



護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT)
▲立入検査時に着用する防弾チョッキは、落水時に着用者が沈まないよう浮力機能を有している



護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT)
▲隊員に貸与される9mm拳銃(P220)に対応したSAFARILAND社製の6005サイホルスターのシュラウドには、6PやG2など1インチの直径を有するライトに対応したSUREFIRE社製V70スピードホルスターが装着されている。使い捨ての簡易手錠として使用されるプラスチック製のタイラップをデューティーベルトに挟んでいる点も注目したい



護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT)
▲左半身にはBLACKHAWK社製のレッグシュラウドを装着し、同社製のオープントップ3連ピストルマグポーチを固定。腰部背面に装着された大型のダンプポーチは、使用済みの空弾倉を素早く投入し、一時的に携行保持するためものだ



護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT)
▲机上展示されていたデューティーベルトキット。ホルスター、マグポーチ、ダンプポーチなど基本的な構成は同様だ



護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT)
▲興味深いのは他の隊員の多くが防弾チョッキに干渉しないサイホルスターを装着しているのに対し、ベルトマウントのヒップホルスター(BLADE-TECH社製WRS Level II TMMSデューティーピストルホルスター)を装着している点だ。同ホルスターは、TMMS(タクティカル・モジュラー・マウントシステム)に対応しており、ネジを使用せずホルスター本体を着脱可能で、同社のテックロックやMOLLEアダプターなどを用いることで、体の様々な位置にホルスターを装着できる



護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT)
▲現行の警察官などに貸与されているタイプと同様の国産手錠は、軽量なアルミニウム合金製だ



護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT)
▲ロッキング方式に日本独自の複雑なロータリー・ロッキング方式を採用しており、外国製手錠に比べると一回り大きい



護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT)
▲現行の2段式特殊警棒が採用される以前、警察官に貸与されていたタイプと同様の国産の3段式特殊警棒。専用のナイロン製警棒ケースに収納し、防弾チョッキの前部や腰部のデューティーベルトに装着している



護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT)
▲警棒のシャフトを伸張した状態。先端のシャフトを握って半回転させることでロックが解除され、シャフトを伸縮できる。本体の鋼材は手錠と同じく軽量なアルミニウム合金製で、多種多様な装備品を携行する隊員の負担を軽減している。その反面、剛性の高いスチール製の警部に比べて耐久性の面では劣るデメリットもある



護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT)
▲個々人が携行するトランシーバーと骨伝導方式を採用したタクティカルヘッドセット。骨伝導方式は受信された音声情報を機械的に微弱振動へ変換して、その振動を頭蓋骨を通した骨導音によって鼓膜を介さず直接的に聴覚神経に伝搬する。このため、射撃音をはじめとした爆発音やエンジン音など、外部の騒音が著しい場合であっても骨導音による確実な音声伝達が可能だ。さらに空気伝導を利用するスピーカーシステムとは異なり、骨伝導方式のヘッドセットは外耳周辺を完全に開放することが可能なため、 活動環境における聴覚での状況把握にも支障をきたさず、また長時間着用時の聴覚疲労のストレス軽減にも加味する。当日の展示では実際にヘッドセットを着用させてもらい骨伝導による音声受信を体験できた



護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT)
▲特に意外だったのはトランシーバーが国産機種ではなく、欧米の通信機器大手であるMOTOROLA社製であったことだ。採用機種は1990年代後半に軍・警察などの政府機関及び公共安全組織向けに開発された個人携帯用デジタル無線機である“ASTRO XTS 3000R”で、標準仕様モデルよりも防水性能などの耐久性を強化し、水上活動組織や特殊部隊をはじめとして、より過酷な環境での運用を想定した最上位の“Rugged(ラギッド):高耐久”モデルであることが分かる



護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT)
▲高耐久仕様のRモデルは、水深約1.8mに4時間放置しても正常機能する驚異的な防水性能を有しているため、対テロ特殊部隊や警察SWATチームによる全天候下における特殊作戦をはじめ、長時間の軍事作戦にも耐える設計だ



護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT)
▲艦内を巡っていると士官の方も艦上での業務連絡用に“XTS 3000R”を使用しているのを確認できた。立入検査隊などの特殊な執行部隊だけでなく、海自では業務用無線機として広く採用されているようだ



護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT)
▲ボーディングチームの着用するキャップ


当日の展示装備品は以上になります。

専門技能と特殊装備を有し、少数精鋭で特殊作戦を敢行する立入検査隊は、広義には特殊部隊の一種であり、今回のようなイベントを通じて一般人が触れ合える最も身近な“特殊部隊”といえます。

せとぎり立入検査隊の皆様、終始ご丁寧に対応して頂き、ありがとうございました。

皆様のご健勝とご活躍をお祈りしております。

それでは!




イベントの詳細は、自衛隊新潟地方協力本部のウェブサイトをご覧ください。


日本警察特殊部隊愛好会(JP-SWAT)公式サイト



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