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Posted by ミリタリーブログ at

2017年04月30日

無可動実銃 MP5A5 鑑賞編

無可動実銃 H&K MP5A5

先日ご紹介した無可動実銃のMP5A5について、とりあえず外観を細かく眺めてみたいと思います。




無可動実銃 H&K MP5A5


無可動実銃の定義については、以前の記事で簡単に記述しましたが、それでは「日本の法律上、銃でない状態にまで実銃を加工(破壊)する。」とは具体的にどのような加工が施されているのでしょうか。


購入先である日本唯一の無可動実銃専門店『シカゴレジメンタルス』さんのウェブサイトによると、無可動実銃として絶対に必要な加工は下記のとおりです。



1 銃身内部に鉄製の棒が銃口から薬室まで挿入されて塞がっており溶接によって抜けなくなっていること
2 薬室と銃身にスリットが入っていること
3 薬室は溶接によって塞がっており装填は出来ないこと
4 ボルトの一部若しくは半分を削除して使用不可能にし、機関部本体に溶接で固定されていること
5 引き金を除く、トリガー・メカニズムの一部、若しくは全てを取り外していること


株式会社シカゴレジメンタルス『Q&A よくあるご質問』より引用

上記の加工が施されていることに加え、警察と税関の立ち合いの下に検査を受け、合法的に通関されていること、輸入時と同じ状態を保つことが必須条件となります。


当然ですが、上記の加工が施されていても公的な検査を受けずに輸入されたもの、実弾を発射できるような改造や可動を楽しむ目的などで一部の加工を排除した場合などは、銃刀法違反や武器等製造法違反となるため、警察による取締りの対象となります。


無可動実銃 H&K MP5A5


先述の加工が施されていることが無可動実銃たる必須条件のひとつですが、この加工の程度も年代によって異なり、近年輸入された「新加工品」に分類されるものは一層厳しい加工が施されているとのことです。

今回、入手したMP5A5は、現在よりも加工基準が緩かった1990年代に輸入されたもので、無可動実銃として最低限度の加工が施された「旧加工品」に分類されるものです。


無可動実銃 H&K MP5A5


このため、外観上の破壊は必要最小限に抑えられ、ハンマーなど撃発に必要な部品を除くトリガー・メカニズムも大部分が残っています。

排莢口から覗くボルト・キャリアーも閉じた状態で加工されているため、一見しただけでは実銃との区別は困難です。




無可動実銃 H&K MP5A5


前置きが長くなりましたが、早速パーツごとに細かく鑑賞していきます。

まずはMP5A5最大の特徴である3点バースト射撃機能を加えた4ポジション・トリガー・グループ搭載のグリップ・ハウジングから。

この4ポジション・トリガー・グループは日本警察仕様のMP5でも採用しているもので、MP5を運用する各国のLEにおいて最も目にするタイプの標準的なトリガー・グループです。

ハウジングに内蔵されているトリガー・パックは、ハンマーなどの撃発部品は一部除去されていますが、セレクターの可動機構などは生きているため、実銃どおりにセレクターを操作することが可能です。

加工基準の厳しい近年の新加工品では、トリガー・メカニズムの大半も破壊されている場合が多く、トリガーとセーフティーが連動していなかったり、セレクター可動時のクリック感が失われているばかりか、トリガー自体にテンションがなく、トリガーがプラプラとぶら下がっているだけの個体も珍しくありません。

本個体では実銃どおりセレクターのクリック感が残っており、セーフティーも確実に掛かります。また、各射撃ポジションでトリガーの引き味に微妙な違いも感じ取れます。




無可動実銃 H&K MP5A5




“カチッ、カチッ”と明確なクリック音を発して可動するセレクターは、VFC MP5シリーズなどのトイガンとは比較にならないほど硬く、改めて実銃であることを認識させられます。

特に欧米人に比べて手の小さいアジア人では、実戦の緊張状態にある中で、この硬いセレクターを瞬時かつ確実に操作するのは難しいように感じます。

日本や韓国などMP5を運用する警察特殊部隊の一部では、元々セレクターが右側にしかない89式小銃と同じように、グリップを把持した利き手の親指をわざわざ人差し指側に移してセレクターを操作しているのを見掛けますが、その理由はこの非常に硬いセレクターにあるようです。




無可動実銃 H&K MP5A5




4ポジション・トリガー・グループに加え、MP5A5の大きな特徴のひとつである伸縮式のリトラクタブル・ストック。

これが固定式のフィクスド・ストックになるとMP5A4になってしまいます。




無可動実銃 H&K MP5A5


肩当て部分の部品は合成樹脂製ですが、その他の主要部品は堅牢な金属製のため、このストックだけでも拳銃1挺分に近い約700gとズッシリとした重量があります。

その分、ストックを展張した際の剛性は非常に高く、グラつきなども一切ないため、肩当てした際の安定感は抜群です。


無可動実銃 H&K MP5A5


主要部品が合成樹脂製で軽量なフィクスド・ストックやB&T社製のフォールディング・ストックに換装するだけで、だいぶ軽くなりそうです。




無可動実銃 H&K MP5A5


こちらは付属のH&K純正バナナ型マガジン。

本体は堅牢なスチール製です。


無可動実銃 H&K MP5A5




背面に設けられた3箇所の確認孔から、残段数を視認することができます。

設計上は30発の9mmパラベラム弾を装填することができますが、実戦部隊では装弾不良などのマルファンクションを考慮し、数発減らした状態で携行することが多いようです。




無可動実銃 H&K MP5A5




本個体は“JA”と打刻された下部のデート・コーディングから1990年製造品であることが分かります。




無可動実銃 H&K MP5A5




上部のマガジン・リップ部分。


無可動実銃 H&K MP5A5




続いてサイト・システムを眺めます。

サブ・マシンガンとして開発されたMP5ですが、開発ベースとなったG3アサルト・ライフルの撃発機構だけでなく、サイト・システムも設計に継承されたことで、旧来のサブ・マシンガンとは一線を画する精密な照準が可能です。

フロント・サイト・ブレードを用いた棒照星(ポスト・サイト)は、コッキング・チューブやバレルを通したフロント・サイト・タワーに保護されています。




無可動実銃 H&K MP5A5




レシーバー上のリア・サイト・ベースに半固定された回転ドラム方式の環孔照門(ピープ・サイト)。

ドラムには90度ごとに小から大へ、直径の異なる4つの環孔が設けられており、ドラムを指で持ち上げながら回転させることで任意の環孔をセットできます。

この環孔は射距離に応じたものではなく、周辺環境の照度に応じて使い分けます。例えば照度の十分な昼光下では小さい環孔、薄暗い屋内では大きい環孔をセットすることで照準精度を維持します。

また、ドライバー様の専用工具を用いることで、上下左右の位置を微調整することも可能です。




無可動実銃 H&K MP5A5




コッキング・チューブ部分のアップ。

当然ながらボルト・グループは溶接固定されているため、内蔵されたコッキング・チューブ・サポートも前後可動しません。

ただ、完全に固定されているものと思いきや、コッキング・ハンドルをつまむとコッキング・チューブ・サポートも僅かにカタカタと動き、サポート自体は溶接固定されていないようです。




無可動実銃 H&K MP5A5


そろそろ本個体の出自を探りたいと思います。

まずはレシーバー上部の刻印部分から。

左側の“MP5 A5 93”の打刻から1993年製造の個体と分かります。

また、右側には6桁のシリアル・ナンバーが打刻されています。




無可動実銃 H&K MP5A5




マガジン・ハウジング部分の口径刻印は、本家ドイツ語の“Kal.9mm×19”ではなく、“Cal.9mm×19”の英語刻印となっています。

実はドイツ製のH&K純正品ではない!?




無可動実銃 H&K MP5A5




同じ部分を虫眼鏡でよく観察すると、いくつかのプルーフ・マークを確認できます。

う~ん、本家ドイツのプルーフ・マークには見えない・・・。

ご存知の方も多いと思いますが、開発から半世紀以上が経過し、世界各国の軍・警察機関で採用されているMP5シリーズは、ギリシャ、トルコ、パキスタン、イランをはじめとした数カ国でライセンス生産されていました。

これらの国々の多くはG3アサルト・ライフルを軍用制式小銃に採用した経緯があり、ローラー・ロッキング・システムなどG3と基本的な構造や部品を共有するMP5は、既存の生産設備を利用して容易に生産できたわけです。

実際にこれらの国々でライセンス生産されたMP5は、本家ドイツ製と基本的な構造は同一ながら比較的安価であったことから、アフリカ地域などの第三世界をはじめとした各国に輸出されており、無可動実銃の世界でもPOF(パキスタン・オーディナンス・ファクトリーズ)製に代表されるライセンス生産版のMP5無可動実銃が流通しています。

やはり、これもその類なのか・・・。




無可動実銃 H&K MP5A5




・・・色々調べたところ、唯一の手掛かりであるこの王冠を模したマークは、イギリスで使用されているプルーフ・マークでした。

イギリスにはロンドンとバーミンガムの2つに耐久試験場があるのですが、これはバーミンガム耐久試験場で耐久試験を受け、合格した銃に打刻されるプルーフ・マークのようです。

ちなみに“BNP”は、ニトロ耐久試験に合格したことを表しています。




無可動実銃 H&K MP5A5




そして、こちらは本体の数箇所に打刻されていた別のプルーフ・マーク

この交差した2本の剣の意匠に“DA 94”と打刻されていますが、これは“DeActivaded 1994”の略で、1994年に銃器登録が失効されたことを表します。

つまり、この個体は1993年に製造された直後、すぐに無可動実銃として加工されたものと推測されます。




無可動実銃 H&K MP5A5




マガジン・ハウジングの右側面には、本家ドイツ製であれば“Maid in Germany”といったように製造国名が打刻されているのですが、本個体は無刻印です(蛇足ですが、日本警察仕様のMP5もこの部分は無刻印)。




無可動実銃 H&K MP5A5




排莢口から覗くボルト・キャリアーのアップ。

ここにも先述した2種類のプルーフ・マークが打刻されています。




無可動実銃 H&K MP5A5




ハンドガードを外して、バレルを確認します。




無可動実銃 H&K MP5A5




バレルには加工条件のひとつである鉄製の棒が挿入され、下部に入れられたスリットから溶接固定されています。

また、バレルの交換も不可能なようにレシーバーとの接点基部も溶接固定されています。




無可動実銃 H&K MP5A5



薬室にあたるレシーバーにも大きなスリットが入れられていますが、ハンドガードで隠れる箇所なので通常は目立ちません。



無可動実銃 H&K MP5A5




バレルにも“DA”プルーフ・マークが打刻されています。




無可動実銃 H&K MP5A5




マガジン挿入口から薬室内を覗くと、ボルト・キャリアーに搭載されたボルト・ヘッドの先端部分が半分近く切断されているのを確認できます。




無可動実銃 H&K MP5A5




本個体には購入時から純正のフラッシュ・ハイダーが付属していました。

サウンド・サプレッサーと同じく、MP5のマズル部分に設けられた3点の突起(3ラグ)を利用するクイック・デタッチ方式を採用しているため、専用工具を用いなくても容易に着脱が可能です。




無可動実銃 H&K MP5A5




フラッシュ・ハイダーを外した状態。

ハイダーが接触していた部分の塗装が剥離しており、見た目はよくありません。

ハイダーはこのまま装着しておいた方が良さそうです。

マズル部分からは、バレルに挿入溶接された鉄棒が確認できます。




無可動実銃 H&K MP5A5




最後にアクセサリーを外したスッピンのMP5A5の姿も。

フラッシュ・ハイダーを外すだけで、かなり印象が変わりますね。




無可動実銃 H&K MP5A5




さて、ここまで一通り外観を鑑賞してきましたが、本家ドイツではなくイギリスのプルーフ・マークが打刻されているなど、結局この子はどこで製造されたMP5なのか謎は深まるばかり・・・。

単刀直入に購入元のシカゴレジメンタルスさんに質問してみたところ、


「イギリス警察からの放出品である可能性が高い」


とのことでした。


そして一番気になる“本家ドイツH&K製のMP5なのか?”という点については、



・ 当時のイギリスの公的機関で使用されていたMP5は基本的にドイツH&Kから直接購入されていた

・ 本個体及び同社が過去に取扱ったイギリス警察放出の個体についてもドイツ本国のプルーフ・マークが本体に打刻されていない

・ 当時はドイツH&Kが英国の大手軍需企業であったロイヤル・オードナンス(現在はBAE Systems Land & Armamentsの一部門)の傘下にあり、ドイツH&Kから部品としてイギリスに輸出されたものをイギリス内で組立て、イギリス警察に納入された可能性が高い

・ 完成品として輸入が行われなかった理由としては、ドイツ側の輸出規制によって完成品での輸出が困難であった事情が考えられる



との詳細な回答を頂きました。


つまり、個々のパーツ自体は本家ドイツH&K製で、刻印のみ最終組立てと耐久試験を行ったイギリス仕様ということのようで、言うなれば“ドイツ生まれのイギリス育ち”という感じでしょうか。


純粋に工業製品として最終組立てを行った製造国のみで判断すると“Maid in UK”であり、本家ドイツ製ではありませんが、裏を返せばイギリス警察仕様のMP5を再現するには、申し分ない個体と言えます。




無可動実銃 H&K MP5A5




次回はトリガー・パックの取り外しを含む分解編をお送りしたいと思います。


それでは!




日本警察特殊部隊愛好会(JP-SWAT)
架空私設特殊部隊 Team JP-SWAT
JP-SWAT on YouTube




ボルトエアソフト リコイルショック電動ガン MP5J B.R.S.S 日本仕様 BR-18


  

Posted by JP-SWAT.com at 00:28無可動実銃NB MP5A5 / 1993

2017年04月15日

金属製美術品・・・

無可動実銃 H&K MP5A5

しばらくVFC MP5ネタが続きましたが、新しいMP5を調達したので、ご紹介します。




無可動実銃 H&K MP5A5



今回の荷物の送り主は、東京上野に本店を構えるシカゴレジメンタルスさん。

この業界では説明不要かと思いますが、日本唯一の無可動実銃専門店です。

ということで、今回の新規調達装備は無可動実銃のMP5です。

無可動実銃とは、実銃の発射機能を排除する加工を海外で施し、公的機関の検査を受けて合法的に輸入された装飾品の総称です。

銃身内部や薬室などは溶接閉鎖され、実弾の装填は不可能な構造になっており、ボルトなどの発射機能に関連する可動部品も溶接されています。

便宜上「無可動実銃」と表記されますが、銃刀法上の実銃(真正銃)には該当しないため、国内における無可動実銃の売買や所持に法的制約は一切ありません。




無可動実銃 H&K MP5A5




初めての購入でしたが、品名は「金属製美術品」で届くんですね。

さすがに一般的に認知されていない「無可動実銃」の表記では、あらぬ誤解を受けそうです。


無可動実銃 H&K MP5A5


VFC MP5が10挺以上は買える値段だったので、どんな感じで届くのかなぁと思っていたのですが、当たり前ながら普通のトイガンと同じように段ボールでの丁寧な梱包でした。

唯一の違いは、保険付きの宅配便だったことぐらいです。


無可動実銃 H&K MP5A5


同社の発行するカタログや定期刊行誌のバックナンバーなどが同封されていました。

専門誌でも取り上げないような珍しいモデルから有名モデルまで、実銃に関する詳細な解説付きのため、ただ眺めているだけでも楽しく、資料的価値もあります。


無可動実銃 H&K MP5A5


それでは早速開封。これでもかというくらい厳重な梱包を解いていきます。

初めて手にする無可動実銃ということもあって、少しドキドキ。

遥か昔、初めて電動ガンを手にしたときのトキメキに近いでしょうか。




無可動実銃 H&K MP5A5




ほのかなガンオイルの香りと黒光りした重厚な金属感。

やはり、実銃(無可動ですが・・・)の雰囲気はどんな精巧なトイガンとも比較になりません。

大人になっても新しい玩具を手にしたときの感動は健在です。




無可動実銃 H&K MP5A5




マガジンなど付属品の梱包も解いていきます。




無可動実銃 H&K MP5A5




開封完了。

ご覧のとおり、今回調達したモデルは現代のMP5シリーズの標準モデルであるMP5A5です。

数年前、発売直後のVFC MP5A2を初めて手にした際、従来のプラスチック製電動ガンなどに比べて、その剛性の高さに感動した記憶があります。

しかし、さすがに実弾を放つ実銃は一段上の剛性といいますか、把持して構えた際の感触が明らかに異なります。




無可動実銃 H&K MP5A5




MP5A5は、標準的な3ポジション・トリガー・グループを有するMP5A3に、3点バースト射撃機能を加えた4ポジション・トリガー・グループを追加した発展モデルです。

また、MP5A3/A5共に旧来のフィンガー・グルーブ付きグリップ・ハウジングについても、両利きでの射撃に対応するようコントロール・セレクターを両側に設け、SEF表記から国籍を問わず視覚的に判別が容易なピクトグラム表記を採用したスムースなデザインの新型グリップ・ハウジングに変更されています。

同時に旧来の薄型ハンドガードについても、把持した際の安定性が増した幅広のデザインになりました。

基本性能に変化はありませんが、これらユニバーサル・デザインの加味によって、現代のMP5は一層と近代的な外観になっています。




無可動実銃 H&K MP5A5




早速、付属のマガジンを装着。

今回のモデルには、日本警察仕様のMP5(機関けん銃)でも採用されているオプションの純正大型フラッシュ・ハイダーが付属していました。

ハイダーはMP5シリーズ特有の3ラグ・バレルに対応しているため、専用工具を用いずに着脱可能です。




無可動実銃 H&K MP5A5




ショルダー・ストックは標準的なリトラクタブル・ストックですが、ラバー製の大型バットパットが装備されたFタイプ・ストックと換装すれば、外観だけでも日本警察仕様のMP5(機関けん銃)を再現できそうです。




無可動実銃 H&K MP5A5




せっかくなので、純正ユーザー・マニュアルも一緒に調達。

左がドイツ語版、右がドイツ語版を翻訳した英語版です。




無可動実銃 H&K MP5A5




基本的な操作手法に加え、パーツ・リストから分解結合、メンテナンス要領までMP5の運用に必要とされる最低限度の情報が記載されています。




無可動実銃 H&K MP5A5


こちらも一緒に調達したオプションの純正ローダー(左)とアンローダー(右)。

MP5のマガジンに装着することで、迅速な装弾と抜弾が可能となります。

なお、ローダーとアンローダーは、携行時の利便性を考慮し、上下に結合することができます。


無可動実銃 H&K MP5A5


さて、とりあえずの調達報告でしたが、各部のディティールや本銃個体の来歴詳細については今後ご紹介する予定です。


無可動実銃は、銃の一義的な存在意義である実弾の発射機能を完全に殺しているため、銃器愛好家の中にも存在に否定的な意見があるのは確かです。

しかし、それが元々実銃として世に存在していたことは事実であり、例え外観だけであってもトイガンでは味わえないロマンが存在するのは間違いありません。

高い評価を得ているVFC MP5シリーズであっても細部の設計は実銃とは異なる箇所が多く、一部加工を施さなければスコープ・マウントやストックなど実銃用アクセサリーの装着はできません。

MP5好きとしては、手持ちの実銃用アクセサリーが無加工で装着できるだけでも無可動実銃には大きな存在価値があるのです。


それでは!




日本警察特殊部隊愛好会(JP-SWAT)
架空私設特殊部隊 Team JP-SWAT
JP-SWAT on YouTube




東京マルイ No.78 H&K MP5-J 18歳以上スタンダード電動ガン


  

Posted by JP-SWAT.com at 19:50無可動実銃NB MP5A5 / 1993

2017年04月10日

VFC MP5A3 #03 「LE SF(シングル・ファイア)仕様」

VFC MP5A3 #03 「LE SF(シングル・ファイア)仕様」

VFC MP5A3ガス・ブローバック・ガンをベースとしたLE SF(シングル・ファイア)仕様です。

LE(法執行関係機関)向けのMP5SF(Single-Fire)モデルをモチーフとしています。

MP5SFは1980年代後半に9mmパラベラム弾に準拠した半自動式カービンとしてFBI(連邦捜査局)の要請に基づいて開発され、固定式ストックを備えたMP5SFA2と伸縮式ストックを備えたMP5SFA3がラインアップされました。

MP5SFはサブ・マシンガンの大きな存在意義である連射機能をあえて排除し、単射のみが可能な2ポジション・トリガー・グループを搭載しています。

VFC MP5A3 #03 「LE SF(シングル・ファイア)仕様」

大半の国においてLEの活動の場は護るべき国民の生活する市街地であり、常に流れ弾による付帯的損害のリスクを考慮する必要があります。

また、警察系特殊部隊の主要任務である人質救出作戦では、事態解決のためには多少の人質の犠牲も止むを得ないとする軍事系特殊部隊とは異なり、人質への危害は原則として許されません。

法令に基づいて射撃の許された司法警察職員は、自身の発射した弾丸1発に全ての責任を負い、一撃必中による高い射撃技術で被疑者のみを確実に制圧することが求められるのです。

さらに、被疑者への射撃についても個々の状況に応じた合理的かつ必要最小限度の実力行使である必要があり、真に止むを得ない状況を除いて生きた状態で被疑者を逮捕拘束するのが原則です。

必然的に大量の弾丸を瞬間的に斉射する場面は限られ、実際にMP5を運用する多くのLEでは、連射による面制圧的なサブ・マシンガン本来の用途よりも、FBIが要求したとおり“低威力の拳銃弾に準拠した半自動式カービン”としての用途に重きを置いています。

VFC MP5A3 #03 「LE SF(シングル・ファイア)仕様」

MP5SFはG3アサルト・ライフルに採用されたローラー・ロッキング・システムによる遅延ブロー・バック機構を搭載し、クローズド・ボルトによる撃発で他のサブ・マシンガンとは一線を画する優れた命中精度を誇るMP5をベースとしたからこそ実現したモデルと言えます。

行き過ぎた過剰殺傷能力として連射機能の装備された標準のMP5をあえて避け、または法令上の制約から全自動火器を装備できないなどの理由からMP5SFを採用しているLEは珍しくありません。

例えばイギリスの警察官が犯罪者の武装を誘発するとして伝統的に非武装であることは有名ですが、1960年代以降は増加する銃器犯罪やテロリズムなどの凶悪犯罪に対応するため、銃器携行許可をもつAFO(Authorised Firearms Officer:公認射手)が武装要員として存在し、グロックなどの自動式拳銃に加えて連射機能を除いたMP5SFを採用しています。

また、我が国でも人質立てこもり事件などの特殊刑事事件に対処する警視庁刑事部所属SIT(特殊犯捜査係)において、短縮型のMP5Kに2ポジション・トリガー・グループを搭載したMP5SFKの運用が確認されています。

この他、関連モデルとして1983年から1989年までの間、米国の民間市場向けに輸出されていたシビリアン・モデルであるHK94も2ポジション・トリガー・グループを搭載していますが、米国の銃器規制に合わせてピストル・カービン扱いとなるように16.54インチ(420mm)の長銃身を装備しています。

VFC MP5A3 #03 「LE SF(シングル・ファイア)仕様」

さて、前置きが長くなりましたが、今回はイギリス警察のSCO19のようにMP5 SFを運用する2000年代中頃の警察系特殊部隊をイメージし、VFC MP5A3に各種外装アクセサリーを追加しました。

標準装備のネービー・タイプ・3ポジション・トリガー・グループ・ハウジングは、MP5SF最大の特徴であるFBIタイプ・2ポジション・トリガー・グループ・ハウジングに換装。

また、標準装備の合成樹脂製ハンドガードもSUREFIRE社製のM63ピカティニー・レール・フォアエンドに換装しています。

両側面及び下面の3面にピカティニー規格の20mmレールが設けられているため、ウェポン・ライトやレーザー・サイトなど様々なオプション・デバイスの運用が可能となります。

レールにはSUREFIRE社製M900Aバーティカル・フォアグリップ・ウェポン・ライトと同社製L72レーザー・サイト・モジュールを装着。


VFC MP5A3 #03 「LE SF(シングル・ファイア)仕様」


MP5SFの運用組織の多くが本格的な対テロ特殊作戦には従事しないことを考慮し、光学照準器はB&T社製ユニバーサル・スコープ・マウントにNVD(暗視装置)非対応のL3 EOTech社製モデル511 HWS(ホログラフィック・ウェポン・サイト)を搭載しています。

なお、VFC MP5シリーズではB&T社製を含めて大半の実銃用スコープ・マウントが装着できないことから、アッパー・レシーバー上部に設けられたスコープ・マウント固定用の爪部を中心に加工、実銃用のスコープ・マウントを無加工で装着できるようにしています。


VFC MP5A3 #03 「LE SF(シングル・ファイア)仕様」


本カスタムに使用した主要アクセサリーは以下のとおりです。

・H&K FBIタイプ 2ポジション・トリガー・グループ・ハウジング
・SUREFIRE M63 ピカティニー・レイル・フォアエンド
・SUREFIRE M900Aバーティカル・フォアグリップ・ウェポン・ライト
・SUREFIRE FM17 プロテクティブ・ビーム・カバー
・SUREFIRE L72 レーザー・サイト・モジュール
・SUREFIRE MH90ウェポン・ライト・ボディ
・SUREFIRE M49スクリュー・マウント
・SUREFIRE XM07テール・キャップ・スイッチ・アセンブリー
・B&T ユニバーサル・スコープ・マウント(BT-21262-1)
・L3 EOTech 511 HWS(ホログラフィック・ウェポン・サイト)




VFC MP5A3 #03 「LE SF(シングル・ファイア)仕様」




MP5SF最大の特徴であるFBIタイプ・2ポジション・トリガー・グループ・ハウジングは、本家VFCからも“FBIセミオート”としてロア・レシーバー・セットが販売されていますが、こちらはH&K社製の実物です。




VFC MP5A3 #03 「LE SF(シングル・ファイア)仕様」




実銃どおりの手順でトリガー・パックとセレクターを移植すれば、特別な加工なしで容易に実物ハウジングに換装することができます。

当然、トリガー・パックはMP5A3に内蔵された標準仕様のままなので、連射機能は生きています。




VFC MP5A3 #03 「LE SF(シングル・ファイア)仕様」



ハウジングの金属インサート部分には、型番に続いて6桁のシリアル・ナンバーなどが刻印さています。


VFC MP5A3 #03 「LE SF(シングル・ファイア)仕様」

▲B&T(Brugger & Thomet)社製ユニバーサル・スコープ・マウントに搭載されたEOTech社製モデル511 HWS(ホログラフィック・ウェポン・サイト)。1996年、EOTech社は同社第1世代型のHWS(ホログラフィック・ウェポン・サイト)である“Bushnell-HoloSight”を発表した。2000年代初頭に発表されたモデル551は、第1世代型を軍・法執行関係機関向けに再設計した第2世代型の代表的なモデルであり、米軍をはじめとした世界各国の軍・警察・法執行関係機関で採用され、警視庁SAT(特殊急襲部隊)など我が国の警察特殊部隊においても運用が確認されている。HWSは戦闘機のHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)などに使用されるレーザー・ホログラフィック技術を応用した新世代の光学照準器であり、ハーフ・ミラーやLED光源などを用いた従来のダット・サイトとは異なり、その構造上レンズが多少損傷しても光点が失われず、継続した照準が可能などの利点がある。特殊作戦対応のモデル551には暗視装置を併用した照準が可能なNV(ナイト・ビジョン)モードが搭載されているが、暗視装置の運用を想定していない顧客(特殊作戦に従事しない法執行関係機関や警備関係機関など)向けにNVモードを省いた廉価版がモデル511だ。後継のXPSシリーズの発売に伴って既に製造が終了したシリーズではあるが、現在でも各国のタクティカル・ユースでは新機種に混じってモデル551/511の運用が確認できる。なお、本個体に印字されたロゴは、EOTech社が米国の大手軍需企業体であるL-3 Communicationsに買収された2005年以降のものだ。




VFC MP5A3 #03 「LE SF(シングル・ファイア)仕様」

▲B&T社製ユニバーサル・スコープ・マウント(B&T mounting rail NAR Universal Mount BT-21262-1)は、MP5 SMGシリーズをはじめとした共通のスコープ・マウント規格を有するH&K社製小火器に対応した汎用スコープ・マウントであり、G3シリーズやHK33シリーズなどのライフルにも装着可能だ。マウント本体はアルマイト表面加工が施された軽量なアルミニウム合金製で、全高を低く抑えたロー・プロファイル・デザインを採用しているため、マウントを装着した状態でも銃に備え付けのアイアン・サイトによる照準が可能である。マウント側面に印字されたB&Tのロゴは、現行の控え目なデザインではなく、大きな字体を採用した2000年代のものだ。




VFC MP5A3 #03 「LE SF(シングル・ファイア)仕様」

VFC MP5A3 #03 「LE SF(シングル・ファイア)仕様」

▲SUREFIRE社製のM63ピカティニー・レール・フォアエンドは、MP5 SMGシリーズ専用に設計されたトリプル・レール・システムだ。本体は軽量かつ高強度なアルミニウム合金製で、表面処理には優れた耐磨耗性と硬度を誇るMIL-A 8625F ハード・アノダイズド・アルマイト(硬質陽極酸化処理)加工が施されている。また、本体の軽量化と銃身から放射される熱を効率よく外気に伝達させるため、本体上部には空気循環に優れた大胆な開放部を設け、レール部分などにも多数の放熱用ホールが設けられている。




VFC MP5A3 #03 「LE SF(シングル・ファイア)仕様」

▲ハンドガード・ロッキング・ピンを利用した固定方法を採用しているため、特別な工具を用いずに標準装備のハンドガードと換装するだけで、既存のMP5でも容易にレール・システムの運用を開始できる。特殊作戦に対応する剛性と運用時の装着精度を保ちながら、限界まで軽量化を図った秀逸なデザインの採用によって本体重量は約150gと軽量であり、標準装備のハンドガードと換装しても射手への負担は少ない。現在、市場に流通するMP5専用レール・システムの中でも、M63ピカティニー・レール・フォアエンドは高品質と低価格を両立した代表的な製品として多くの戦術部隊から高い評価を受け、各国の軍・警察・各種法執行関係機関に採用されている。我が国でもMP5を運用するSAT(特殊急襲部隊)や銃器対策部隊をはじめ、一部の警察特殊部隊においてM63ピカティニー・レール・フォアエンドの運用が確認されている。




VFC MP5A3 #03 「LE SF(シングル・ファイア)仕様」

▲M63ピカティニー・レール・フォアエンドには、20mm幅のピカティニー規格レールに対応したSUREFIRE社製M900Aバーティカル・フォアグリップ・ウェポン・ライト及び同社製L72レーザー・サイト・モジュールを装着している。モジュラー・レール・システム普及の過渡期にあった2000年代前半、M900Aはモジュラー・レール・システム向けバーティカル・フォアグリップと大出力ウェポン・ライトの両機能を人間工学に基づいて合成した画期的なモデルとして登場した。防水・防塵構造の本体外装には、ガラス繊維を含む強化合成樹脂(ナイトロン・ポリマー)と航空機鋼材用のアルミニウム合金が用いられ、優れた耐久性と軽量化を実現している。バーティカル・フォアグリップ部分に3本のCR123Aリチウム・バッテリーを内蔵し、光源には耐衝撃構造のベゼル内部にMN10キセノン・バルブ・(光束125ルーメン)を搭載。バーティカル・フォアグリップ両側面にテープ状の間欠点灯用モーメンタリー式スイッチが設けられており、フォアグリップを把持した状態のままスイッチの操作ができる。また、ランプ・アッセンブリーの後部には常時点灯用のロータリー式スイッチも設けられ、継続したライティングも可能だ。さらに、バーティカル・フォアグリップ上方後部に設けられたモーメンタリー式スイッチを押下することで、ランプ・アッセンブリー上部に設けられた2灯の低出力LEDナビゲーション・ライトを点灯することができ、自己位置の暴露を最低限に抑えながら、進行経路などを照らすことができる。本個体のナビゲーション・ライトは標準的な白色LEDだが、他にも赤色LED及び青色LED、IR(赤外線)LEDを搭載したバリエーション・モデルが製造された。




VFC MP5A3 #03 「LE SF(シングル・ファイア)仕様」

▲レールに装着するためのマウントには、米国の大手銃器関連部品メーカーであるA.R.M.S.社製の特許製品“スルー・レバー”を採用したシングル・レバー“Tri-Lock”マウント(SUREFIRE社の製品名称はM50)が装備されている。20mm幅のピカティニー規格レールに対応した“Tri-Lock”マウントは、側面に設けられたスルー・レバーの開閉操作によってマウントの着脱が可能であり、スクリュー固定方式を用いた従来の一般的なマウントに比べ、瞬時に着脱が可能なクイック・リリース・マウント・システムだ。マウントの着脱操作は容易だが、高い剛性と工作精度の実現によって確実な固定を実現しているため、M900シリーズのようにバーティカル・フォアグリップを介した運用であっても装着時の動揺は一切感じられない。




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▲モデルL72レーザー・サイト・モジュールは、SUREFIRE社が1990年代後半から製造を開始した出力5mWの赤色可視光レーザー・サイトである。 レーザー発振器を無加工で取り外し可能なモジュール式のコンポーネントにすることで、同社がラインアップするウェポン・ライト・システムとの組み合わせにより、ライフルやSMG、拳銃など様々な銃種でレーザーサイトの運用を可能とした画期的な製品であった。 L72レーザー・サイト・モジュールは、従来の大型のレーザー・サイトのデメリットを払拭した小型軽量な半導体レーザーを採用しており、 その軽便さから同社のウェポン・ライト・システムと併せて世界各国の対テロ特殊部隊や警察SWATに採用され、 タクティカル・ユースにおけるレーザー・サイト・システム普及に先鞭を着けた。 また、可視光レーザーを照射するL72の他にも、ナイト・ビジョン・デバイス(暗視装置)と併用することを前提とした不可視光のIR(赤外線)レーザー照射機能をもったL75も製造された。なお、本個体は製造終了の最終ロットに近い2005年製造のものだ。




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▲L72レーザー・サイト・モジュールは、ミレニアム・ウェポン・ライト・シリーズの主要なボディ・アッセンブリーであるMH90ウェポン・ライト・ボディに装着し、M49スクリュー・マウントを介してレールに固定している。ボディの後部に装着されたXM07テール・キャップ・スイッチ・アセンブリーは、ピン・ジャックの採用で任意に着脱可能な7インチ長ケーブル付きモーメンタリー式テープ・スイッチに加え、ハンディ・フラッシュ・ライトなどに装備されるオルタネイト式プッシュ・スイッチを1つのテール・キャップに配置したスイッチ・アッセンブリーだ。フォアグリップなど任意の位置に配置可能なテープ・スイッチは間欠点灯操作のみ可能だが、テール・キャップに設けられたプッシュ・スイッチは常時点灯操作に加えて、半押し状態での間欠点灯操作も可能な設計であり、プレッシャー・スイッチが故障した際の戦術的な冗長性を確保している。




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