2017年09月05日
はやぶさ型ミサイル艇 「はやぶさ(PG-824)」、「うみたか(PG-828)」 一般公開

みなさん、お久し振りです。
ついこの前、新潟西港で護衛艦「まつゆき」を見学したばかりだと思ったいたのですが、あっという間に8月も終わってしまいました・・・。
ここではお知らせしませんでしたが、8月は2年ぶりに陸自の総火演に行けたりしたので、この夏は個人的に自衛隊イベント尽くしです。
さて、今年の自衛隊イベントの締めくくりということで、先日9月2日(土曜日)及び3日(日曜日)の両日、長岡市寺泊港西埠頭において催された海上自衛隊「はやぶさ型」ミサイル艇である「はやぶさ(PG-824)」、「うみたか(PG-828)」の一般公開に行ってきました。
現在、「はやぶさ」と「うみたか」は京都府舞鶴基地を拠点とする舞鶴地方隊第2ミサイル艇隊に所属しています。
「はやぶさ型ミサイル艇」について詳しく知りたい方は、ウィキペディア「はやぶさ型ミサイル艇」を参照願います。

昨年の「せとぎり」、今年の「まつゆき」は何れも雨模様だったのですが、今回は夏らしい晴天。
最終日となる日曜日は午前(9時から11時00分)と午後(13時30分から16時00分)に艦内を見学できました。
午後一番での見学を狙って12時30分ころ現地に到着したのですが、既に多数の見学者が・・・。
この手の自衛隊イベントではよくあることですが、来場者数が多いため、予定を繰り上げていたようです。

2隻並んで停泊中。左が1番艇の「はやぶさ(PG-824)」、右側が5番艇の「うみたか(PG-828)」です。
全長50.1m、最大幅8.4m、基準排水量200トン(満載排水量240トン)、乗員21名
最新の汎用護衛艦(DD)と比べると全長で1/3程度、乗員数で1/10程度、排水量だと1/30程度もの差があり、正に庶民の見なれた漁船・・・いやボートサイズです。

しかし、小さい船と侮ると文字どおり痛い目にあいます。
本級の最大の武器は、後部に搭載された4発の対艦ミサイル(90式艦対艦誘導弾SSM-1B)と、強力なウォータージェット推進装置から得られる最大44ノット(81km/h)の高速航行性能にあります。

また、主砲も基準排水量200トンながら「はつゆき型」や「あさぎり型」など旧型の汎用護衛艦と同様のオート・メラーラ62口径76ミリ単装速射砲を搭載。
小さな船体に現代の大型戦闘艦艇を一撃で戦闘不能にする強力な対艦ミサイルを搭載した本級は、正に男のロマンを具現化したような非常に魅力的な存在です。

▲ステルス型シールドを備えた62口径76ミリ単装速射砲(オート・メラーラ 76mm スーパー・ラピッド砲)





▲後部に設置された90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)連装発射筒

本級最大の特徴にして、唯一の長距離水上打撃力である国産の90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)は、陸上自衛隊で運用されてた地上発射式の88式地対艦誘導弾(SSM-1)の艦載型として開発されました。
射程距離は旧来から海上自衛隊で運用されていたハープーンSSMよりも延伸され、150km程度と推定されています。
なお、発射管制システムや発射機架台などはハープーンSSMと相互運用性を確保しています。

対艦ミサイル発射の瞬間はこんな感じです。
ミサイル艇は、一撃必殺のヒットアンドアウェイ戦術が基本となります。
対艦ミサイルを発射した直後は、敵艦船からの自己位置の評定と反撃を避けるため、直ちに当該海域を離脱します。
また、島嶼部海域での作戦行動では、島影などの遮蔽物を利用した奇襲的な戦術も効果的です。

本級は汎用護衛艦のように対空捜索レーダーや対空ミサイルなどの本格的な対空戦闘システムを装備していません。
主砲の76mm単装速射砲に有視界での限定的な対空戦闘能力はありますが、高速で飛来する対艦ミサイルへの防御能力は貧弱です。
このため、敵艦やミサイルのレーダーに捕捉されないように船体の各部に徹底したステルス形状を採用し、少しでも生存性を高めています。

乗員の方に伺ったところ、後部の90式艦対艦誘導弾は、設計上は他の汎用護衛艦と同様に合計8発の搭載が可能とのことです。
しかし、最大数を搭載すると重量増加の影響で本級の存在意義である高速性能が十分に発揮できないことから、平時から4発搭載が基準とのことでした。
運用上の現実性はありませんが、一度でもいいので退役前に8発フル装備した重武装の姿を拝みたいものですね。

▲本級の特徴であるウォータージェット推進装置のダクト

ウォータージェット推進方式は、通常の護衛艦で採用されているプロペラスクリュー推進方式とは異なり、高圧ポンプで船底から吸い込んだ大量の海水を後部のダクトから一挙に噴出し、高速航行に必要な強力な推進力を得ます。
本級では出力5,400馬力のガスタービンエンジン3基を搭載しており、各1基がウォータージェット推進ダクトに接続されています。
なお、ウェオータージェット推進方式に舵(ラダー)は存在せず、海水を噴出するダクトの向きを変えることで、進行方向を決定します。


▲Mk.137 6連装デコイ発射機(チャフロケットランチャーシステム)


▲臨検用の6.3メートル型複合型作業艇(RHIB)




▲搭載火器が保管されている小火器格納箱

艇内の小火器格納箱には、船舶臨検時や儀仗時に使用する9mmけん銃、9mm機関けん銃、64式7.62mm小銃、同銃剣、散弾銃、12.7mm重機関銃が保管されています。
12.7mm重機関銃は、艦橋後部両舷の銃架各1基に設置可能です。















最終日の午後5時30分、2日間の一般公開を終えた2隻は寺泊港を無事出港しました。



「はやぶさ」、「うみたか」乗員の皆様、当日はご丁寧に対応していただき、ありがとうございました。
皆様のご健勝とご活躍をお祈りしております。
本年の新潟県内における海上自衛隊艦艇の一般公開はこれで最後になりますが、興味のある方は是非とも来年の一般公開に運んでみてはいかがでしょうか。
それでは!
イベントの詳細は、自衛隊新潟地方協力本部のウェブサイトをご覧ください。
日本警察特殊部隊愛好会(JP-SWAT)公式サイト
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23:59
│海上自衛隊(JMSDF)
2017年07月24日
はつゆき型護衛艦 「まつゆき(DD-130)」 一般公開

みなさん、お久し振りです。
いよいよ夏本番が近づき、新潟でも猛暑が続いたかと思えば、急に豪雨になったりと、せわしない天候が続いております。
さて、この時期と言えば、個人的には海上自衛隊の県内寄港による乗艦見学が夏の風物詩となりつつあります。
この土日の両日、新潟市東区地内の新潟西港山ノ下埠頭において、海上自衛隊「はつゆき型」護衛艦の9番艦である「まつゆき(DD-130)」の一般公開が催されておりましたので、今年も見学に行ってきました。
昨年の同時期、新潟西港に寄港した「あさぎり型」護衛艦である「せとぎり(DD-156)」の前級となるのが今回寄港した「はつゆき型」護衛艦です。
現在、「まつゆき」は護衛艦隊直轄の第14護衛隊(かつて沿海域警備を担う地方隊籍にあった二桁護衛隊)に所属し、定係港は京都府に所在する舞鶴基地です。
「あさぎり型護衛艦」について詳しく知りたい方は、ウィキペディア「はつゆき型護衛艦」を参照願います。

昨年の「せとぎり」以上に生憎の雨模様。
最終日となる日曜日は午前(9時から11時30分)と午後(13時から15時30分)に艦内を見学できましたが、午前中は激しい雨が降るとの予報だったため、多少雨雲が薄くなる午後から訪問。

全長130m、基準排水量3,050トン(満載排水量4,200トン)
「せとぎり型」(全長137m、基準排水量3,500トン)の次級となる「むらさめ型」(全長151m、基準排水量4,550トン)以降の汎用護衛艦に比べると一回り小さく、欧米では駆逐艦(Destroyer)ではなくフリゲートに分類されるサイズですが、それでも間近で見ると、その大きさに圧倒されますね。
行楽期の日曜日ですが、かなりの悪天候のため、昨年の「せとぎり」寄港時に比べ、来訪した市民は疎らです。
ただ、マニアは雨が降ろうが槍が降ろうが関係ありませんので、甲板が人で溢れかえらない雨天は寧ろ好機ともいえます。
甲板上でも傘をさすことは許可されていますが、人混みの中では危険性が高いので、雨衣の着用をお勧めします。
また、一眼レフカメラなどをお持ちの方は、カメラ用のレインカバーも用意した方がいいでしょう。

本級は従来の対潜護衛艦(DDK)及び対空護衛艦(DDA)の後継として、これらの機能を統合する目的で誕生した現行の汎用護衛艦(DD)の第一世代艦型として設計され、1980年代に合計12隻が大量建造されました。
対艦ミサイル、対空ミサイル、対潜ミサイル、魚雷などの各種兵装をバランス良く配置し、加えてC4I機能や電子戦機能、艦載ヘリ運用機能をはじめ、現代の海上戦闘に対応できるシステム艦として長らく活躍しましたが、1番艦の建造から35年以上が経過した近年では老朽化に伴い年々除籍が進み、現在では練習艦に艦種変更された3隻を含めて5隻が残るのみです。

1986年3月竣工の「まつゆき」も今年で艦齢31年に達し、海上自衛隊の運用する汎用護衛艦(DD)では最も旧式の部類となります。
護衛艦隊直轄のDDとしては、「まつゆき」(護衛艦隊第14護衛隊)と「あさゆき」(護衛艦隊第13護衛隊)の2隻が残るのみです。
しかし、「まつゆき」を含めて後期建造型の3隻については今後も順次延命改修が施され、あと数年は護衛隊及び練習艦隊で活躍するようです。

「あきづき型」や「あさひ型」などの最新艦艇に比較すると性能面では見劣りはしますが、近年ではまずない大量建造によって昭和末期から平成初期までの間、長らく護衛艦隊の中核を成し、現在の海上自衛隊の発展史に欠かせない艦型であります。
いずれにしても、あと数年もすれば除籍が進み、その姿を見られなくなる可能性が高く、下手をすれば個人的に「はつゆき型」に乗艦できるのはこれが最初で最後かもしれず、今回の寄港は貴重な機会とも言えます。

▲上部構造物両舷に設置された高性能20mm機関砲(ファランクス CIWS Mk.15 mod.2 ブロック0)の機関部(M61 バルカン)

▲米軍のMk32短魚雷発射管(324mm口径)を国内でライセンス生産した68式3連装魚雷発射管(HOS-301)



昨年の「せとぎり」では甲板上が人で溢れかえっていましたが、14時を過ぎたころには艦上見学者は疎らに・・・。
甲板上では見学者が滑って転倒しないように、自衛官がせっせと雨水をはいていました。

▲本艦の主砲であり、優れた対空戦闘能力を有する62口径76ミリ単装速射砲(オート・メラーラ 76mm コンパクト砲)

猛烈な雨のため、レンズもビショビショです・・・。
マニアはともかく、一般人には厳しい環境です。

▲62口径76ミリ単装速射砲薬砲

▲前甲板に設置された艦載用対潜ミサイルシステムである74式8連装アスロック((Anti Submarine ROCket)発射機


当日は艦橋など艦内見学の実施はなく、甲板上を一周するシンプルな順路でした。
また、哨戒ヘリは展示されていましたが、ヘリ甲板やハンガーへの立ち入りもできなかったため、外から見上げるかたちとなりました。

▲後部煙突直前から両舷に向けて発射するように設置されたハープーンSSM(艦対艦誘導弾) 4連装発射筒

▲本艦は両舷に4連装発射筒を1基ずつ備え、最大8発のハープーンSSMを運用可能


▲艦尾甲板に設置された個艦防空用のシースパロー短SAM(短距離艦対空誘導弾) 8連装発射機

▲訓練弾が装填されているキャニスター

後部甲板から望む信濃川河口。
忘れてましたけど、磯の香もしませんし、まだここは川なんですよね。
ここから1kmほど北上すると日本海に注ぎます。
十日町あたりの上流の水は透明でキレイなんですけど、なんか信濃川河口の水はいつも茶色く濁っている印象があります。

▲艦載ヘリは米軍の哨戒ヘリであるSH-60Bシーホークを三菱重工業がライセンス生産したSH-60Jで、後部のヘリ格納用ハンガーに1機を格納可能

甲板から埠頭を眺めます。
晴天であれば見学者の列が並んでいると思うのですが、今日は待ち時間ゼロで乗艦できました。

埠頭には毎度お馴染みとなった陸上自衛隊新発田駐屯地に所在する第30普通科連隊から82式指揮通信車、高機動車、軽装甲機動車、偵察オートバイが出張展示していました。
雨の中、お疲れ様です。

「まつゆき」乗員の皆様、当日はご丁寧に対応していただき、ありがとうございました。
皆様のご健勝とご活躍をお祈りしております。
なお、新潟西港での艦艇寄港は終了しましたが、8月26日(土)、27日(日)の両日には佐渡市両津港に多用途支援艦「ひうち」、9月2日(土)、3日(日)の両日には長岡市寺泊港にミサイル艇「はやぶさ」、「うみたか」が寄港予定で、艦内見学が可能です。
艦艇に興味のある方は、是非とも夏の思い出づくりに足を運んでみてはいかがでしょうか。
それでは!
イベントの詳細は、自衛隊新潟地方協力本部のウェブサイトをご覧ください。
日本警察特殊部隊愛好会(JP-SWAT)公式サイト
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2016年09月29日
ひゅうが 出港

9月24日と25日の両日、 新潟県北蒲原郡聖籠町の新潟東港において自衛隊・消防関係機関が参加した「海上防災フェスタ」が開催され、一般公開されたヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」の艦上は多くの見学者で賑わいました。
2日間の一般公開を終えた「ひゅうが」は、最終日の翌日である9月26日午前中に新潟東港を出港し、定係港である舞鶴基地に向かいました。
どうしても「ひゅうが」の動いている姿を見たかったので、月曜の午前中から張り込み、無事に出港を見届けることができました。







撮影に夢中になっていたところ、どこからか静かな視線を感じます・・・。

・・・めっちゃ見られてます。
不審者じゃないですよ~。
互いに望遠レンズ越しに目が合ったので、挨拶代わりに手を振りました。
( ゚д゚)ノシ

おお・・・ちゃんと返答してくれました。
少し感動です。
航路お気をつけて、お帰り下さい!




イベントの詳細は、自衛隊新潟地方協力本部のウェブサイトをご覧ください。
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│海上自衛隊(JMSDF)
2016年09月24日
ひゅうが in 新潟東港

みなさん、こんにちは!
本日から明日までの間、 新潟県北蒲原郡聖籠町の新潟東港において自衛隊・消防関係機関が参加した「海上防災フェスタ」が開催されます。
本イベントの最大の目玉である海上自衛隊の「ひゅうが型」ヘリコプター搭載護衛艦の一番艦である「ひゅうが(DDH-181)」の一般公開に早速行ってきました。
詳細な記事は後日として、とりあえず第一報で会場の雰囲気をお伝えするため画像のみ掲載します。
会場駐車場には県外ナンバーの車両も多数集結。
開場時間には既に満車状態で、艦内見学には長蛇の列が伸びていました。
手短に本日の感想を一言で表すと・・・
デカい(全長197m・全幅33m・満載排水量19,000トン)
広い(ヘリコプター最大積載機数11機・最大3機が同時発着可能)
高い(全高48m・建造費1,200億円)
よってカメラの画角に収まらない・・・(広角レンズ必須)
明日の夕方まで一般公開されているので、この感動を味わいたい方は是非足を運んでみてください。
なお、「ひゅうが型護衛艦」の詳細については、ウィキペディア「ひゅうが型護衛艦」を参照願います。











イベントの詳細は、自衛隊新潟地方協力本部のウェブサイトをご覧ください。
日本警察特殊部隊愛好会(JP-SWAT)公式サイト
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2016年07月18日
護衛艦せとぎり立入検査隊(MIT) 2016

先日、一般公開された護衛艦「せとぎり」ネタ第2弾でございます。
艦上では各種兵装など様々な装備資機材が公開されていましたが、後部のヘリ甲板で特殊な方々のブースを発見。
各護衛艦ごとに編成されている護衛艦付き立入検査隊(MIT:Maritime Interception Team)の方々です。
主砲やミサイルよりも個人装備に目がいってしまうのは、特殊部隊好きの悲しいサガ。
個人装備品の展示に加え、防弾チョッキの試着体験などもでき、細かな質問にも快く丁寧に答えて頂きました。
公開されていた立入検査隊の装備について、紹介したいと思います。

護衛艦付き立入検査隊とは、簡単にいうと各国海軍で行われている臨検部隊の海上自衛隊版で、部内では「立検隊」などと呼ばれています。
我が国では平成12年に制定された「周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律(船舶検査活動法)」に基づき、海上自衛隊による一般船舶に対しての臨検行為をはじめとした海上阻止行動(MIO)が可能となりました。
各護衛艦ごとに編成された立検隊は、普段は各職種に従事している乗員から選抜されています。
主に複合艇でのボーディングによって当該船舶に乗船し、積荷の検査や目的地の確認などを実施することから、選抜された隊員は海上阻止行動に関する専門教育を受けています。
海賊やテロリストの資金源ともなる麻薬密輸などの容疑船に対しても実施される立入検査活動は、当該船舶の乗員が武装している場合もあることから、立検隊は防弾チョッキや防弾ヘルメットなどの防弾装具を着用し、自衛用に89式小銃や9mm機関拳銃、9mm拳銃などで武装しています。
臨検という海上警察活動を行う性格上、立検隊の個人装備には被疑者拘束時に使用する手錠や警察比例の原則に従った特殊警棒などが含まれ、その姿は一見すると海上における警備警察業務を担う海上保安庁の特別警備隊に酷似しています。
なお、被服や防弾装具などの官給品を除き、ホルスターやベルトなどの各種デューティーギアは、私費で購入している方が多く、隊員によって細かな装備が異なるのはこのためです。
隊員さんによると「ベルトやホルスターなども支給品はあるが、正直使い勝手が悪いので、どうしても私費で納得のいく製品を購入することになる」とのことで、この点は陸上自衛隊の市街地戦闘装備の事情に近いものがあるようです。

▲立入検査時に着用する防弾チョッキは、落水時に着用者が沈まないよう浮力機能を有している

▲隊員に貸与される9mm拳銃(P220)に対応したSAFARILAND社製の6005サイホルスターのシュラウドには、6PやG2など1インチの直径を有するライトに対応したSUREFIRE社製V70スピードホルスターが装着されている。使い捨ての簡易手錠として使用されるプラスチック製のタイラップをデューティーベルトに挟んでいる点も注目したい

▲左半身にはBLACKHAWK社製のレッグシュラウドを装着し、同社製のオープントップ3連ピストルマグポーチを固定。腰部背面に装着された大型のダンプポーチは、使用済みの空弾倉を素早く投入し、一時的に携行保持するためものだ

▲机上展示されていたデューティーベルトキット。ホルスター、マグポーチ、ダンプポーチなど基本的な構成は同様だ

▲興味深いのは他の隊員の多くが防弾チョッキに干渉しないサイホルスターを装着しているのに対し、ベルトマウントのヒップホルスター(BLADE-TECH社製WRS Level II TMMSデューティーピストルホルスター)を装着している点だ。同ホルスターは、TMMS(タクティカル・モジュラー・マウントシステム)に対応しており、ネジを使用せずホルスター本体を着脱可能で、同社のテックロックやMOLLEアダプターなどを用いることで、体の様々な位置にホルスターを装着できる

▲現行の警察官などに貸与されているタイプと同様の国産手錠は、軽量なアルミニウム合金製だ

▲ロッキング方式に日本独自の複雑なロータリー・ロッキング方式を採用しており、外国製手錠に比べると一回り大きい

▲現行の2段式特殊警棒が採用される以前、警察官に貸与されていたタイプと同様の国産の3段式特殊警棒。専用のナイロン製警棒ケースに収納し、防弾チョッキの前部や腰部のデューティーベルトに装着している

▲警棒のシャフトを伸張した状態。先端のシャフトを握って半回転させることでロックが解除され、シャフトを伸縮できる。本体の鋼材は手錠と同じく軽量なアルミニウム合金製で、多種多様な装備品を携行する隊員の負担を軽減している。その反面、剛性の高いスチール製の警部に比べて耐久性の面では劣るデメリットもある

▲個々人が携行するトランシーバーと骨伝導方式を採用したタクティカルヘッドセット。骨伝導方式は受信された音声情報を機械的に微弱振動へ変換して、その振動を頭蓋骨を通した骨導音によって鼓膜を介さず直接的に聴覚神経に伝搬する。このため、射撃音をはじめとした爆発音やエンジン音など、外部の騒音が著しい場合であっても骨導音による確実な音声伝達が可能だ。さらに空気伝導を利用するスピーカーシステムとは異なり、骨伝導方式のヘッドセットは外耳周辺を完全に開放することが可能なため、 活動環境における聴覚での状況把握にも支障をきたさず、また長時間着用時の聴覚疲労のストレス軽減にも加味する。当日の展示では実際にヘッドセットを着用させてもらい骨伝導による音声受信を体験できた

▲特に意外だったのはトランシーバーが国産機種ではなく、欧米の通信機器大手であるMOTOROLA社製であったことだ。採用機種は1990年代後半に軍・警察などの政府機関及び公共安全組織向けに開発された個人携帯用デジタル無線機である“ASTRO XTS 3000R”で、標準仕様モデルよりも防水性能などの耐久性を強化し、水上活動組織や特殊部隊をはじめとして、より過酷な環境での運用を想定した最上位の“Rugged(ラギッド):高耐久”モデルであることが分かる

▲高耐久仕様のRモデルは、水深約1.8mに4時間放置しても正常機能する驚異的な防水性能を有しているため、対テロ特殊部隊や警察SWATチームによる全天候下における特殊作戦をはじめ、長時間の軍事作戦にも耐える設計だ

▲艦内を巡っていると士官の方も艦上での業務連絡用に“XTS 3000R”を使用しているのを確認できた。立入検査隊などの特殊な執行部隊だけでなく、海自では業務用無線機として広く採用されているようだ

▲ボーディングチームの着用するキャップ
当日の展示装備品は以上になります。
専門技能と特殊装備を有し、少数精鋭で特殊作戦を敢行する立入検査隊は、広義には特殊部隊の一種であり、今回のようなイベントを通じて一般人が触れ合える最も身近な“特殊部隊”といえます。
せとぎり立入検査隊の皆様、終始ご丁寧に対応して頂き、ありがとうございました。
皆様のご健勝とご活躍をお祈りしております。
それでは!
イベントの詳細は、自衛隊新潟地方協力本部のウェブサイトをご覧ください。
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2016年07月17日
あさぎり型護衛艦 「せとぎり(DD-156)」 一般公開

みなさん、こんにちは!
見出しのとおり、本ブログで初めてとなる装備品以外のネタでございます。
本日から明日までの間、新潟市東区地内の新潟西港山ノ下埠頭において、海上自衛隊の「あさぎり型」護衛艦である「せとぎり(DD-156)」の一般公開が催されておりましたので、早速見学に行ってきました。
事前の広報では、「はたかぜ型」ミサイル護衛艦の「しまかぜ(DDG-172)」も同時入港する予定でしたが、残念ながら急遽中止に・・・。
昨年の同時期、上越市の直江津港に入港した「こんごう型」ミサイル護衛艦である「みょうこう(DDG-175)」を見学して以来、現代の戦闘艦艇の放つ圧倒的なパワーに魅せられています。
本艦は間もなく艦齢30年に達し、お世辞にも最新艦艇とは言えませんが、艦齢延伸措置により当分は主力の汎用護衛艦であり続けるようなので、この機会を逃すわけにはいきません。
なお、「あさぎり型護衛艦」の詳細については、ウィキペディア「あさぎり型護衛艦」を参照願います。

本日は生憎の雨模様。
両日とも午前(9時から12時)と午後(13時30分から15時30分)に艦内を見学できますが、乗艦開始30分前の8時30分ころには既に行列が・・・。
1時間ほど艦内を見学しましたが、連休中ということもあり、10時ころには艦上は沢山の人で溢れかえりました。

全長137m、基準排水量3,550トン(満載排水量5,200トン)
次級の「むらさめ型」(全長151m、基準排水量4,550トン)以降の汎用護衛艦に比べると一回り小さく、欧米では駆逐艦ではなくフリゲートに分類されるサイズですが、それでも間近で見ると、その大きさに圧倒されますね。
ここからは実際の見学順路に沿って撮影した各種兵装などをザックリと紹介します。

▲前甲板に設置された艦載用対潜ミサイルシステムである74式8連装アスロック((Anti Submarine ROCket)発射機

▲本艦の主砲であり、優れた対空戦闘能力を有する62口径76ミリ単装速射砲(オート・メラーラ 76mm コンパクト砲)

▲実弾と同重量の62口径76ミリ単装速射砲用教練弾薬砲








▲上部構造物両舷に設置された高性能20mm機関砲(ファランクス CIWS Mk.15 mod.2 ブロック0)

▲高性能20mm機関砲の機関部(M61 バルカン)


▲艦載用のデコイ(チャフ)展開システムであるMk 36 SRBOC (Mk.137 6連装デコイ発射機)

▲後部煙突直前から両舷に向けて発射するように設置されたハープーンSSM(艦対艦誘導弾) 4連装発射筒

▲米軍のMk32短魚雷発射管(324mm口径)を国内でライセンス生産した68式3連装魚雷発射管(HOS-302)

▲後部のヘリ甲板及びヘリ格納用ハンガー

▲艦載ヘリは米軍の哨戒ヘリであるSH-60Bシーホークを三菱重工業がライセンス生産したSH-60J

▲ヘリ格納用のハンガー内部

▲艦尾甲板に設置された個艦防空用のシースパロー短SAM(短距離艦対空誘導弾) 8連装発射機

埠頭には陸上自衛隊新発田駐屯地に所在する第30普通科連隊から高機動車、軽装甲機動車、82式指揮通信車、偵察オートバイも出張展示。
子供向けの制服試着体験、防弾チョッキや鉄帽の試着体験もできます。
また、本日は航空自衛隊新潟分屯基地に所在する航空救難団新潟救難隊の救難捜索機U-125A及びUH-60Jが飛行展示を実施しました。
陸・海・空の3自衛隊すべてが一度に楽しめる貴重な機会です。
明日まで一般公開中なので、興味のある方は是非とも足をお運びください。
それでは!

イベントの詳細は、自衛隊新潟地方協力本部のウェブサイトをご覧ください。
日本警察特殊部隊愛好会(JP-SWAT)公式サイト
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